2020年1月、都内駅近の築古激安マンション50㎡を購入、リノベーションが2020年4月に完成。もともと3DKだった部屋を1LDK+WICにリノベーションしています。
今回は、不動産屋さんで見せられたチラシから、検討物件で理想の間取りが実現できるかどうか、どのように分析しリノベーション案を考えたのか、その方法を説明していきます。
理想の間取りは実現可能? 確認する2つの方法
検討物件である中古マンションで、理想の間取りが実現可能かどうかを確認するためには、
自由に間取り変更できる範囲 と 理想の間取りに必要な面積
の両面を確認することが重要です。
この記事では、一級建築士の私たちが、自分たちでリノベーションを行った経験をもとに、
・自由に間取り変更できる部分をどのように把握するのか?
・理想の間取りに必要な面積をどのように把握するのか?
この2点を解説します。
自由に間取り変更できる範囲を把握しよう
壊せない壁・水回り・窓をチェックしよう
自由にプランニングを行う範囲を把握するために、検討物件で分析するのは以下の3つです。
- 壊せる壁と壊せない壁を見分けること。
- 水回りの位置を詳細に把握すること。
- 窓のある位置を把握すること
この3点を確認することで、そのチラシに乗っている物件で自由に間取り変更できる範囲がわかります。また、明るく風通しのよい空間、つまり居心地の良い家になるかどうか、を判断することができます。
以下の記事、「中古マンション購入の際に間取りでチェックしたポイントとは!?」で、なぜこの3点を確認することが重要なのか詳しく解説しておりますので、興味のある方は合わせて読んでみてください。
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【リノベ向き中古マンションを見分ける方法】間取りのチェックポイント3つ
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私たちが購入したマンションの例
左側がリノベーション前の間取り図、右側が壊せる壁・水回り・窓をチェックしたものです。自由にプランニングできる範囲(黄色)が浮き出てきます。
チェックの結果、私たちの検討物件は、以下のような長所を持っていました。
・きれいな整形の形をしている。(カード型の長方形)
・トイレ、洗面、風呂が固まってコンパクトに纏まっている。
・南面に採光窓がある。
・テラス専用庭がある。
・窓が対角上に二面ある。
自由にプランニングできる範囲としては、十分合格レベルと判断し、私たちは2つ目の「理想の間取りに必要な面積の把握」へと進みました。結果的に、この物件の間取りを気に入って購入しています。
これで、自由にプランニングできる部分の把握は完了です。
理想の空間に必要な面積を把握するには?
把握するために必要な4STEP一覧
4STEPで、理想の空間に必要な面積を把握します。
4STEP
STEP1 水準を知る 家族構成から大まかな面積をつかむ
STEP2 現状を知る 現状を知る 自分が配置したい家具・家電のリストを作る
STEP3 要望を知る 現在のプランに足りない要望を改善するための面積リストを作る
STEP4 情報を配置 STEP2・3のリストを図面に入れ込んでみる
STEP1、2までは、マンションのプランがなくても準備ができるので、事前の準備がお勧めです。
良い物件は千載一遇!万全の準備をして良い物件を待つ姿勢が大切です。
STEP3、4は、不動産屋さんで間取りをもらったものに対して考えるものです。
いいなと思った複数の検討物件で、やってみることをお勧めします。
一度やると、自分たちの希望が明確になりますし、リノベーションの案づくりに慣れてきます。
step
1水準を知る 家族構成から大まかな面積をつかむ
理想の住まいにどのぐらいの広さが必要なのか、まったく想像もつかない方もいるかと思います。
目指せばよい家全体の面積を知っておくことが物件を絞り込むことの第一歩となります。
ここで紹介するのが『住生活基本計画における「居住面積水準」(国土交通省)』です。
国土交通省が指針として、世帯人数ごとの居住面積を発表しています。基準には2つあります。
一つが最低基準です。
これは絶対にで確保すべき住宅面積を表していて、住む人数に対して、最低このくらいは面積がないと、生活が厳しいという目安になります。
もう一つが誘導基準です。
確保できると望ましい住宅面積を表していて、豊かな住生活の実現に必要な目安になります。誘導居住面積には「一般型」と「都市居住型」の数字があります。都市部と郊外のライフスタイルや地価の違いから、別で項目が設けられています。
一般的には2つ目の誘導基準を目指し、資金や立地の関係でやむを得ない場合は最低基準までの範囲で減らしていくことが目安になってきます。
例として私たちの場合、
参考
・夫婦二2人と、未就学児が1人
・立地は都内
⇒ 最低居住面積水準は 35㎡
⇒ 誘導居住面積基準は 65㎡(都市居住型)
私たちが買った中古住宅が50㎡なので、2つの基準のちょうど真ん中を購入したことになります。
住んでみた雰囲気としては、「必要十分だけど、もうちょっと広いといいかな」といった感じです。金額を押さえながら探していく場合、この最低居住面積水準と誘導居住面積基準の中間をひとつの目安にして物件選びをしていくと良いと思います。
この時に重要なのが、「いつまで住むか?」ということです。
住み替えを考えておらず、購入した物件にずっと住むならば、必要な広さは、将来の家族構成に適したもので選ぶべきである、ということを忘れないでください。
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2現状を知る 自分が配置したい家具・家電のリストを作る
お勧めしたいのが、家具・家電のリストを作るということです。
せっかくリノベーションしたとしても、家具・家電が思ったように配置できなければ、もったいないことになります!
現在使っていて、引っ越しても使いたいお気に入りの家具や家電のサイズを計測し、リスト化してください。もし、新居に引っ越したら、絶対に買いたい家具・家電があれば、HPなどでサイズを調べ、リストに加えてください。
少し面倒かもしれませんが、この作業を行うことにより、面積の検討がグッと現実に近づきます。
STEP1では、家全体の面積を把握しましたが、このSTEP2をすると各部屋の単位でどれぐらいの広さがほしいのか、段々見えてきます。
きれいに作る必要はありませんが、縦・横・高さを書いておくことがポイントです。
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3要望を知る 検討物件で要望を叶えるための面積リストを作る
要望によっては、検討物件の現状から、リノベーションで間取りを変更し、部屋の面積を変更しなければなりません。部屋ごとに欲しい面積を明確にしていくことが次のステップです。
検討物件に対する私たちの不満一覧
リノベーション前の間取りに対する私たちの不満は以下の通りでした。
不満点
・DK、洋室、和室が区切られていて、大きな空間がなく、広がりが感じられない。
・和室はいらない。
・押し入れが足りない。
・I型のキッチンではなく、アイランドキッチンがよい。
・お風呂が狭い。
・独立洗面台が欲しい。
不満に対する、私たちの解決策一覧
ひとつづ納得のいく面積・解決策を明確にしていきます。
・DK、洋室、和室が区切られていて、大きな空間がなく、広がりが感じられない。
⇨壊せる壁を取り払い、DK、洋室、和室を一部屋とする。
・和室はいらない。
⇨床と壁紙を変えることで解決。(面積は変わらない)
・押し入れが足りない。
⇨自分たちに必要な収納の面積を書き出してみました!
私たちは、無印良品の衣装ケース(奥行)でウォークインクローゼットの中を整理すると決め、衣類の量から幅1550mm x 長さ2000mm程度が必要ということがわかりました。
・I型のキッチンではなく、アイランドキッチンがよい。
⇨必要な面積をチェック!ショールームで体感が可能です。
アイランドキッチンの場合の壁からの寸法は1350mm-1550mm が標準で、私たちは1450mmを選びました。
メーカーによっても、サイズが違いますので、注意してください。
・お風呂が狭い。
⇨欲しい大きさをチェック!こちらもショールームで体感が可能です。
私たちは1616という、1600mm x 1600mmのサイズを選びました。
キッチンと同じく、メーカーにより多少サイズにばらつきがあります。
・独立洗面台が欲しい。
⇨欲しい大きさをチェック!こちらもショールームで体感が可能です。
私たちはW900mmのものを選びました。
step
4情報を配置 STEP2・3のリストを図面に入れ込んでみる
自由にプランニングできるエリアを下敷きに、STEP2、STEP3で作成したものをプロットしていきます。
プロットする時には、図面の縮尺を合わせていくことが望ましいです。
私たちが、実際に行った配置計画(ゾーニング)とその時に考えたことは以下の通りです。
アイランドキッチンやお風呂のサイズなど、詳細が不明な点もありますが、理想のプランの実現ができそうなことが確認できます。
不動産屋さんから紹介されて1週間ぐらいの間で行いましたが、当日中にできるならそれがベストです。このイメージができた時点で物件の内覧を申し込みました。
STEP4のゾーニングを、いいなと思った物件、いくつかでやってみることをお勧めします。自分たちの希望が明確になりますし、配置にも慣れてきます。
まとめ
不動産屋さんで見せられた物件チラシで、理想の空間が実現可能か確認する方法として、
「自由に間取り変更できる範囲」と「理想のプランに必要な面積の両方をチェックする方法」を紹介しました。
リノベーションを少しでも検討されている方は、まずは家全体の面積でどれぐらい必要かをチェックしてみてください。
出てきた面積の範囲で不動産サイトで検索すれば、それがあなたの候補物件です。